はじめに
自作キーボードキット 『DRESSTHING(ドレッシング)』 のビルドガイドです。このガイドは、下記の組み合わせの手順を説明します。
- スタイル
- solo(一体型)
- ケース
- Half Shell Case
DRESSTHING は、ファッションをテーマにした、35キー+ロータリーエンコーダーの30%キーボードです。一体型(solo)・折畳型(fold)・左右分割型(twins)の3スタイルに組み替えできます。別のスタイル・ケースを組む場合は、そのスタイルのビルドガイドをご覧ください(工程が違います)。
DRESSTHING の特徴
- はんだ付け不要
- 基板は部品実装済み(PCBA)で届きます
- 3スタイルに組み替え可能
- Solo(一体型)/Fold(折畳型)/Twins(左右分割型・完全無線)
- 完全ワイヤレス
- マイコンは BMP Boost。ワイヤレスでデバイスに接続します
- キーマップ自由
- Vial対応。35キーをレイヤーで自在に設定できます
- ケースは2種類(3Dプリント/アクリル)
- オンラインで購入できるほか、自分で用意することもできます
完成までの流れ
準備(§1〜§3)のあと、組み立ては次の4ステップです。
- ファームとデフォルトキーマップを書き込む
- メインユニットを組む
- ボトムユニットを組んで本体に合体
- ペアリングして使う
01/07ご購入の前に
DRESSTHING は個人開発のプロダクトです。メーカー品のような品質・安定性を求める方の期待には、応えきれない部分があります。以下を確認・納得のうえ、ご購入ください。
1-1組み立てが必要な「DIYキット」です
DRESSTHING は、ドライバーでの組み立てと、ファームウェアの書き込み(PCでブラウザ操作)が必要な DIYキットです。完成品ではありません。組み立て工程も含めて、このプロダクトの価値だと考えています。
1-2別途そろえる部品があります
組み立てには、キットに含まれない部品がいくつか必要です。スイッチ・キーキャップ・電池・マイコン(BMP Boost)・ノブを、別途ご用意ください(合計 ¥1〜2万 ほどが目安)。
詳しい品目・数量は §2-2 にまとめています。
1-3頻繁なスタイル変更には非対応
DRESSTHING はバッジとプレート・アタッチメントを取り替えれば、別のスタイルへ組み替えることもできます。
ただし、左右や各層をつなぐコンスルー(差し込みコネクタ)の抜き差し耐久は、約50回です。これを超えると、接触不良の原因になります。一通り試したら、自分に合ったスタイルで使い続けるのがおすすめです。
02/07パーツを確認
この章では、キットに入っているものと、別途用意するものを確認します。開封時、ネジ類のパッケージは、ハサミで慎重に開封してください。
2-1キットに同梱されているもの
キットには、下記が入っています。届いたら、揃っているか確認してください。
本体キット
- メイン基板 右/左(部品実装済み)
- コンスルー一式
- 2.5mm(12P+13P)×1組
- 3mm 5ピン ×4
- ネジ・スペーサー一式(予備込み)
- M2×8mm ×12
- M2×4mm ×10
- 六角穴付きボルト M2×5 ×2
- スペーサー:4.5mm ×8/9.5mm ×2
- ゴム足 ×8
モジュール(solo)
- solo基板
ケース(3Dプリント)
- バッジパネル:solo用の一体版 ×1/fold用の分割版 右・左 ×各1
- スイッチプレート 右・左 ×各1
- センターパネル ×2
- ボトムケース 右・左 ×各1
- スライドスイッチカバー ×1
バッジパネルは、左右が繋がった一体版(solo用) と 左右に分かれた分割版(fold用) が両方入っています。使うのは、注文したスタイルのぶんだけです。
Half Shell Caseのデータは無料配布しています。自分でプリントして、色や素材を変えるのも自由です(「ケースなし」で購入された方も、同じデータで印刷できます)。
2-2キット以外に必要なもの(同梱しません)
キットだけでは完成しません。ここでは、別途用意するものを紹介します。
- BMP Boost(マイコン)×1遊舎工房
- キースイッチ 35個:MX / choc V1 / choc V2 Full POM 対応遊舎工房(MX) 遊舎工房(choc V2)
- キーキャップ 35個:1uサイズ。用意したスイッチに対応するものを選びます
- エンコーダー用ノブ 1個:下記ページの「ミニ」(直径14mm・高さ9mm)をお選びください。直径27mm/33mmのタイプはケース開口に収まりませんDaily Craft
- 電池 CR2032 ×1:家電量販店やコンビニでも買えますAmazon
ロータリーエンコーダー本体は基板に実装済みなので、エンコーダーまわりで用意するのはつまみ(ノブ)だけでOKです。
2-3【重要】コンスルーの向き
コンスルーは差し込むだけで固定できる便利なパーツですが、表裏・上下が決まっています。
- 表裏:側面に金色と黒色の窓が交互に並ぶ面が「表」、何もない面が「裏」
- 上下:窓からピンまでのスペースが狭い方が「上」、広い方が「下」
差し込むときは必ずピンセットを使用してください(指で押すとケガの恐れ)。差し込んだ後、基板から浮いていないか確認し、隙間がなくなるまで差し込みます。
必要な道具
この章では、組み立てに使う道具を紹介します。
04/07ファームウェアの書き込み
この章では、組み立てに入る前に、マイコン BMP Boost へファームウェアを書き込みます。作業は、すべてブラウザ(Google Chrome)で行います。
まず 4-1 で BMP Boost 本体を更新し、続いて 4-2 で、キーボード設定とデフォルトキーマップを書き込みます。
4-1ブートローダー/ファームのアップデート
- BLE Micro Pro Web Configurator にアクセス
- 「Update Bootloader」 →
ble_micro_pro_bootloader_~の最新版を選択 → BMP Boost を接続して書き込み → 完了後、ケーブルを一度抜き差し - 「Update Application」 →
ble_micro_pro_vial_~の最新版を選択 → 書き込み
4-2キーボード設定とデフォルトキーマップを書き込む
- 「Edit config」を開き、キーボードリストから
soo_suke_dressthingを選んで書き込む - 続けて 「Write default keymap」を開き、同じ
soo_suke_dressthingを選んで書き込む - VIA Custom UI for Vial を開き、「Add New Keyboard」→
DRESSTHINGを選ぶ - レイアウトが表示され、キー入力とダイヤルが反応することを確認する
キーボード設定とデフォルトキーマップは、別々に書き込みます。「Edit config」だけではデフォルトキーマップは入りません。
確認できたら、USB-Cケーブルを外して完了です。
組み立て
この章では、パーツをケースに組み付けて、本体を仕上げます。まず全体の構造を確認してから、メインユニット、ボトムユニットの順に組み、最後に合体させます。
5-1構造を確認する
DRESSTHING は、メインユニット(キーが付く上半分)を ボトムユニット(土台=ケース)に載せ、上から バッジパネル で留める、という積み重ねでできています。
- メインユニット=スイッチプレート+メイン基板(§5-2で組む)
- ボトムユニット=ケース部分(土台。§5-3で組む)
この Half Shell Case(HALF-SHELL)の構成部品は4種類:
- バッジパネル:上部の装飾(六角穴付きボルト M2×5 ×2 で固定)
- スイッチプレート 右/左:キースイッチを保持するプレート
- センターパネル ×2:左右のボトムケースの間に渡すプレート。soloでは左右を固定し、foldでは基板固定シートを挟んで下層の折りたたみヒンジを作る
- ボトムケース 右/左:側面の壁と底面が一体になった、深い土台
5-2メインユニットを組む
BMP Boost を取り付ける
- BMP Boost に 12ピン・13ピンのコンスルーを差し込む。向きは、表裏・左右・上下の3つを合わせる:
- 表裏:部品のない面が表(コンスルーの表面が左を向く)
- 左右:USBを上にして、左に13ピン・右に12ピン
- 上下:狭い方(=上)が BMP Boost 側
IMG-057コンスルーを差し込んだBMP Boost(表裏・左右・上下の3つが合っている状態) - 右の12ピンは、一番上のスルーホールを1つ空けて差し込む
IMG-061右12ピンの上端を1つ空けているところ - BMP Boost をメイン基板の右に裏側から差し込む。基板の 「WIRED」穴は空ける(=WIRELESS位置に装着)
IMG-068メイン基板の右へ裏側から差し込んだ状態。「WIRED」穴が空いているの
電池を入れる
電池ケース(BS-CR2032-8)は、上側のバネ爪の下に電池を手前から差し込むタイプです。
- スライドスイッチが 上=OFF になっていることを確認する
IMG-059スライドスイッチが上(OFF)にある状態 - CR2032 を、プラス面(平らな面/刻印のある面)を上にして持つ
IMG-060プラス面を上にしてCR2032を持ったところ - ケースの手前側から、上のバネ爪の下へ電池を滑り込ませ、奥まで押し込む
IMG-098手前側からバネ爪の下へ滑り込ませているところ
上のバネ爪がプラス(+)、底面の金属がマイナス(−)に触れます。プラス面が上を向いていれば正しい向きです。
電池が切れたときの交換のしかたは §7(困ったとき)を参照してください。
Half Shell Caseの場合:スライドスイッチカバーを取り付ける
Half Shell Caseを使う場合は、スイッチプレートを付ける前に、電池を入れた側のスライドスイッチにカバーを取り付けます。カバーはレバーに差し込むだけです(緩いときは、マスキングテープを小さく切って貼ってから差し込みます)。その上からスイッチプレートを取り付けます。アクリルケースではこの工程を飛ばします。
スイッチプレート+キースイッチを取り付ける
キースイッチは、スイッチプレートにはめた状態のまま、ピンをメイン基板のソケットに差し込みます。以下を 左右のメイン基板それぞれで行い、計35個を取り付けます。
- スイッチプレートの四隅に、まずキースイッチを4つはめる(向き:MXは金属ピンが上、ロープロファイル choc はピンが下)
IMG-072四隅に4つはめた状態+向きの比較(MXは金属ピンが上/choc はピンが下) - 四隅のスイッチのピンをメイン基板のソケットに合わせ、ピンが曲がらないよう位置を合わせてから、プレートごと押し込んで基板に固定する
IMG-067ピンをソケットに合わせ、プレートごと押し込んでいるところ - 残りのキースイッチを、プレートの穴と基板のソケットに合わせてはめていく
IMG-071残りのスイッチをはめていく途中の様子
ピンが完全に潰れたスイッチは使わない(ソケット内に折れピンが残り基板故障の原因になります)。
5-3ボトムユニットを組む
使うパーツ:ボトムケース 右/左・センターパネル 2枚・ネジ/スペーサー(詳細は §2-1)
- ボトムケースにセンターパネル2枚を、左右のボトムケースをまたぐ向きで重ねる
IMG-110左右のボトムケースをまたぐ向きでセンターパネル2枚を重ねた状態) - その上にスペーサーを立てる
- バッジ部分の2箇所に 9.5mm、他8箇所に 4.5mm
IMG-0779.5mmと4.5mmのスペーサーの位置 - ケースの底面から M2×8mmネジ(計10本) で留める
IMG-081ケースを裏返して底面からネジを留めているところ
5-4メインユニットとボトムユニットを合体させる
使うパーツ:メインユニット・ボトムユニット・solo基板・コンスルー 3mm 5ピン ×4・一体型バッジパネル・キーキャップ/ノブ
バッジパネルは、soloでは左右がつながった一体型を使います(左右に分かれた分割版は使いません)。
- solo基板に 5ピンコンスルーを挿す:solo基板の左右それぞれの端に、3mm 5ピンコンスルーを2本ずつ(計4本)挿します
- 向きは窓(金/黒)のある面を奥側、狭い方をメイン基板側(詳しくは §2-3)
IMG-108solo基板の左右の端に2本ずつ挿した状態。窓の面が奥側を向いているの - solo基板をボトムユニットに置く:ボトムユニットの上(センターパネル側の定位置)に置きます
IMG-087ボトムユニットの上の定位置に置いた状態) - メインユニット(左右)を重ねる:solo基板から立てたコンスルーが、左右メイン基板の奥側スルーホールに入るように位置を合わせ、コンスルーのピンを折らないように上から重ねて押し込みます
IMG-094奥側スルーホールに位置を合わせて重ねているところ() - M2×4mmネジ(計8本)で留める:キースイッチの間から、左右4箇所ずつ計8箇所を留めます
IMG-080キースイッチの間からネジを留めているところ+8箇所の位置 - コンスルーが浮かず穴に噛み合っているか確認する(無理に締めると破損)
IMG-095噛み合っているOK例と、浮いているNG例の対比 - 一体型バッジパネルを六角穴付きボルト(M2×5)2本で留める
IMG-090一体型バッジパネルを六角ボルトで留めているところ - キーキャップとノブを付けて完成 → §6へ
IMG-078キーキャップとノブを付けているところ
使い方
この章では、組み上げたキーボードをデバイスに接続し、キーマップを確認・変更します。
6-1ペアリング
- スライドスイッチを下にスライドして電源ON。電源を入れると(未接続のときは)自動でペアリングモードに入ります
- PC・デバイスのワイヤレス接続の設定(デバイスを追加)に 「(BMP) DRESSTHING」 が現れるので、選んで接続
- 接続できたら完了です
見つからないとき:電源を入れ直す/デバイス側のワイヤレス接続をオンオフする。
別のデバイスを追加する(新規ペアリング)
- BackSpace をホールドしたままダイヤルを回すと、〈ワイヤレス設定〉(L4)に入ります
- その状態で P の位置をタップすると、新規ペアリングモードになります
- 追加したいデバイス側でペアリングして接続します
- 終わったら、Enter の位置をタップすると元に戻ります
6-2デフォルトキーマップ
キーが35個しかないのに文字が足りているのは、1つのキーに2つの役割を持たせているからです。 短く押すこと=タップ、押したままにすること=ホールドと呼びます。この2つで働きが変わります。
- Escタップで Esc、ホールドで Ctrl
- Tabタップで Tab、ホールドで ⌘(Windowsは Win)
- Capsタップで Caps、ホールドで Shift
- Spaceタップで Space、ホールドしている間は〈数字・記号〉(L1)
- BSpcタップで BackSpace、ホールドしている間は〈矢印・編集〉(L2)
ホールドしている間だけキーボード全体の意味が変わる面をレイヤーといい、全部で5つあります。 指を離せば元に戻るので、覚えていなくても壊れません。
| レイヤー | 入り方 | 中身 |
|---|---|---|
| L0 ベース | 電源を入れた状態 | アルファベット |
| L1 数字・記号 | Space をホールド | 数字と記号 |
| L2 矢印・編集 | BSpc をホールド | 矢印キーと編集まわり |
| L3 マウス | L1 の最中に BSpc、または L2 の最中に Space | カーソル移動とクリック |
| L4 ワイヤレス設定 | BSpc をホールドしたままダイヤルを回す | つなぎ先の切替・新規ペアリング |
L1・L2 では、左手のホームポジション(A・S・D・F)が Shift・⌘・Ctrl・Option になり、 指を動かさずに装飾キーを押せます。
6-3キーマップの変更(Vial)
キーマップは VIA Custom UI for Vial で自由に変更できます(Google Chrome)。
- サイトを開き、「Add New Keyboard」→ DRESSTHING を選んでキーボードを接続する(無線でも接続できますが、安定しないときは USB-Cケーブルでつなぎます)
- 「Keymap」で、レイアウト図の変えたいキーを選び、下のキー一覧から割り当てたいキーを指定する(=タップキー)
- 長押しに機能を持たせたいときは、キーを選んで「Option(Hold)」で設定する(レイヤー移行は
Layer Tap、装飾キー(Shift等)はMod Tap) - 変更はその場でキーボードに反映されます(保存操作は不要)
- タップダンス・コンボ・マクロなどの高度な設定もできます(→ サリチル酸さんのVial解説記事が分かりやすい)
キー数が少ないぶん、レイヤーとホールドの割り当てで使い勝手が大きく変わります。最初から作り込まず、使いながら少しずつ調整していくとよいです。
07/07困ったとき(FAQ)
この章では、組み立て後や使用中によくある症状と対処をまとめます。解決しないときは、末尾の問い合わせ先へご連絡ください。
- キーの一部が反応しない → スイッチのピン曲がり/コンスルーの浮きを確認。コンスルーは隙間なく差し込む
- スタイル変更したい → 可能ですがコンスルー抜き差し耐久は約50回。頻繁な組み替えは想定外です
- 電池が切れた/電池を交換したい → ネジを一部だけ外して隙間から無理に引き抜かないでください(ボトムケースやマイコンの破損につながります)。次の手順で交換します:
1. スライドスイッチを上(OFF)にする 2. キーキャップを外す 3. バッジパネル(六角穴付きボルト2本)とメインユニットの固定ネジを外し、メインユニットをボトムから持ち上げる(§5-4 の逆手順) 4. 電池ホルダーの手前側から、樹脂ピンセットや爪で古い CR2032 を押し出す 5. 新しい CR2032 を入れて(入れ方は §5-2)、逆手順で組み直す
- ペアリングできない → 電源入れ直し/デバイス側のワイヤレス接続をオンオフ/BMP Boost公式も参照
- 他のキーボードで使っていたBMP Boostを流用して書き込み・ペアリングに失敗する → 以前のキーボードの情報(特にZMK系ファームウェア)が残っている場合があります。§4-1の順に「Update Bootloader」→「Update Application」を最新版で上書きし、キーボード設定とデフォルトキーマップを書き込み直してください
- お問い合わせ → 正式な受付はお問い合わせフォームに一本化しています。ご購入前の相談もフォームからお送りください。組み立ての相談やユーザー同士の情報交換はDRESSTHING Closet(Discord)でも行えますが、注文・返品・初期不良の受付にはなりません。
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